膝が痛くて歩くことがつらいとき、水中で身体を動かす方法も選択肢になります。

健康のためにウォーキングを続けていたのに、最近は歩くと膝が痛い。

少し長く歩いただけで膝が重くなり、翌日まで違和感が残る。

運動をしたいけれど、膝に負担をかけるのが心配。

このようなお悩みはありませんか?

そんなときに選択肢の一つになるのが、水中ウォーキングです。

水の中では、身体に浮力が働きます。そのため、陸上で立って歩く場合とは異なる負荷で身体を動かすことができます。

ただし、水の中なら膝に負担がかからないというわけではありません。水の抵抗もありますし、歩き方や運動量によって膝にかかる負荷は変わります。

この記事の結論

  • 水中ウォーキングは、膝の変形性関節症などで陸上運動がつらい人にとって、運動の選択肢になる場合があります。
  • 水の浮力によって下肢にかかる荷重を軽くしやすく、水の抵抗を利用して筋肉を動かすこともできます。
  • 水中運動が陸上運動より必ず優れているわけではありません。
  • 最初は短時間・ゆっくりした動きから始め、運動後や翌日の膝の状態を確認することが大切です。

大切なのは、運動を無理に続けることではなく、今の膝の状態に合う方法を選ぶことです。

歩くと膝が痛む、水中運動を始めるべきか迷う方へいつから痛むのか、どの動作でつらくなるのかを整理しておくと、身体の状態を考える手掛かりになります。

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水中ウォーキングは、なぜ膝の運動の選択肢になるの?

水中ウォーキングの特徴は、水の中で身体が受ける力が陸上とは異なることです。

特に重要なのが、浮力と水の抵抗です。

1.水の浮力で身体が軽く感じられる

水の中に身体を入れると、浮力によって身体が上向きに支えられます。

陸上では自分の体重を脚で支えながら歩きますが、水中では水深に応じて水が身体を支えるため、下肢に伝わる荷重を軽くできる場合があります。

そのため、陸上を歩くと膝がつらい人でも、水中では動きやすく感じることがあります。

水の中では体重がゼロになるわけではありませんが、身体を支える力の一部を浮力に任せられることが特徴です。

2.水の抵抗が筋肉の運動につながる

水の中では、身体を前後左右に動かすと、水が動きに抵抗します。

そのため、歩く動作そのものが筋肉を使う運動になります。

水の抵抗は、動かす速さや方向によって変わります。ゆっくり動かせば比較的軽い負荷にしやすく、速く動かせば抵抗が大きくなる傾向があります。

ただし、速く動かせばよいというものではありません。膝が痛い人は、まずゆっくりした動きで身体の反応を確認しましょう。

3.温水プールでは身体を動かしやすく感じる場合がある

温水プールでは、水の温かさによって身体がリラックスし、関節や筋肉を動かしやすく感じる人もいます。

温かい水の中で身体を動かすことと、運動をせずに温泉やお風呂に浸かることは同じではありません。

水中ウォーキングは、浮力や抵抗を利用して実際に身体を動かす運動です。

温かい水に浸かるだけで、運動と同じ筋力向上や身体機能の改善が得られるわけではありません。

世界の医学研究では、水中運動はどのように評価されている?

膝の痛みと水中運動については、世界各国で研究や診療ガイドラインが公表されています。

日本整形外科学会の変形性膝関節症診療ガイドライン

日本整形外科学会の2023年の診療ガイドラインでは、変形性膝関節症に対する運動療法について、痛みや身体機能、日常生活機能の改善に有用として推奨しています。

対象となる運動には、筋力トレーニング、有酸素運動、陸上運動、水中運動、太極拳などが含まれます。

ここで注意したいのは、特定の運動だけが最も優れていると示しているわけではないことです。

ドイツのS3診療ガイドライン

ドイツの整形外科・外傷外科学会などが関わる2024年の変形性膝関節症診療ガイドラインでは、水中運動について個別の推奨が示されています。

膝の変形性関節症に対して、水中運動は痛みを減らし、身体機能や生活の質を改善する可能性があるとして、実施を提案しています。

一方で、陸上運動についても、それぞれの人の状態に合った運動療法を推奨しています。

2023年のシステマティックレビューとメタ解析

2023年に公表された研究では、膝の変形性関節症に対する水中運動の効果と安全性を、複数のランダム化比較試験から調べています。

水中運動は、運動をしない場合と比較して、短期的な痛みの改善が報告されています。

ただし、水中運動と陸上運動を比較した解析では、痛み、こわばり、身体機能に明確な差が確認されませんでした。

2026年の新しい比較レビュー

2026年に公表された更新版のシステマティックレビューでは、9件のランダム化比較試験、合計700人を対象に、水中運動と陸上運動を比較しています。

一部の評価項目では水中運動に有利な結果もありましたが、全体として、陸上運動より水中運動が明確に優れているという結論には至っていません。

研究ごとに運動内容や対象者、評価方法が異なり、証拠の確実性にもばらつきがありました。

研究結果から分かること水中運動には膝の痛みや身体機能を支える可能性があります。ただし、水中運動だけが正解ではありません。

陸上運動がつらい人、プールの方が継続しやすい人など、個人の状態や好みに応じて選ぶことが重要です。

水の浮力と抵抗を利用し、膝の状態に合わせて運動量を調整しましょう。

水中ウォーキングが向いている可能性がある人

水中ウォーキングは、次のような方にとって運動の選択肢になる場合があります。

  • 陸上を歩くと膝がつらくなる。
  • 長い距離を歩くことが難しくなってきた。
  • 変形性膝関節症があり、運動方法を探している。
  • 身体を動かしたいけれど、体重を支える運動が負担に感じる。
  • プールでの運動なら比較的続けやすいと感じる。

ただし、これらに当てはまるからといって、必ず水中運動が適しているとは限りません。

膝の痛みには、変形性膝関節症だけでなく、半月板や靱帯の損傷、関節周辺の炎症など、さまざまな原因が考えられます。

原因や状態によっては、運動の種類を変更する必要があります。

水中ウォーキングの始め方|最初から頑張りすぎない

水中ウォーキングを始める場合、最初から長時間歩く必要はありません。

まずは水に入ったときのバランスや、膝の動きやすさを確認しながら進めましょう。

1.安全に立てる深さの場所を選ぶ

プールの水深によって、身体を支える浮力の大きさは変わります。

深くなるほど体重を支える浮力は大きくなりやすい一方、足元の安定感やバランスの取りやすさも考える必要があります。

最初は、足が底につき、安全に立てる場所を選びましょう。水中でふらつく場合は、手すりを利用できる場所を選ぶことも大切です。

2.最初は小さな歩幅でゆっくり歩く

水の中に入ったら、まずはゆっくり前に歩いてみます。

  • 歩幅は無理に大きくしない。
  • 膝を必要以上に高く上げようとしない。
  • 足元を確認しながら歩く。
  • 身体を前後左右に大きく傾けない。
  • 呼吸を止めず、自然に動く。

最初から水の抵抗を強く感じるほど大きく動く必要はありません。

3.慣れてきたら横方向の動きも試す

前に歩くことに慣れ、膝の反応にも問題がなければ、小さな横歩きを試す方法もあります。

横歩きでは、普段の前進歩行とは異なる方向に身体を動かします。

ただし、バランスが不安定な場合は無理をせず、手すりを使うか、前歩きだけにしておきましょう。

4.水の中でも休憩を入れる

水中では身体が軽く感じられるため、思った以上に動いてしまうことがあります。

最初は短い時間で切り上げ、途中で休憩を入れながら、自分の身体がどのように反応するか確かめてください。

時間や回数を一律に決める必要はありません。運動後や翌日の状態を見て、次回の運動量を考えましょう。

水中ウォーキングで気をつけたい4つのポイント

1.水の中でも膝には負担がかかる

浮力で身体が軽く感じられても、膝への負担がなくなるわけではありません。

水の抵抗を受けながら歩くため、速く歩いたり、大きく脚を動かしたりすると、膝の筋肉や関節周辺に負荷がかかります。

特に、最初から速いペースで歩いたり、深くしゃがんだりする動きは控え、ゆっくりした動作から始めましょう。

2.運動中に痛みが増えたら中止する

水中だから痛みが出ないとは限りません。

歩いている途中で膝が鋭く痛む、腫れぼったくなる、動かしにくくなる場合は、いったん運動を中止してください。

3.運動後や翌日の反応も確認する

水中では動きやすく感じても、運動後に膝の痛みが強くなる場合があります。

特に、翌朝に腫れやこわばりが増している場合は、前回の運動量が今の状態に合っていなかった可能性があります。

次に行うときは、時間や速度を減らすなど、条件を調整しましょう。

4.プールでの転倒や体調変化にも注意する

水中では足元が見えにくかったり、プールサイドが滑りやすかったりすることがあります。

バランスに不安がある場合は、一人で無理に動かず、手すりや安全な環境を利用してください。

心臓や肺の病気、血圧の問題、皮膚の傷や感染症などがある方は、水中運動を始める前に医療関係者へ相談することが大切です。

次の状態では、水中ウォーキングを無理に始めないでください。

  • 膝が急に大きく腫れた。
  • 膝が赤く、熱を持っている。
  • 転倒やけがの直後から強い痛みがある。
  • 体重をかけて歩けない。
  • 発熱を伴う膝の痛みがある。

このような場合は、運動を続けず医療機関で状態を確認してください。

水中ウォーキングと陸上ウォーキング、どちらがよい?

比較するポイント水中ウォーキング陸上ウォーキング
身体の支え浮力によって体重を支える力の一部を水が受け持つ脚で体重を支えて歩く
運動負荷浮力と水の抵抗を利用する地面を踏み込む動きや歩行速度などで変化する
筋肉への刺激水の抵抗を利用して多方向へ動ける日常生活に近い歩行動作を繰り返せる
利用環境プールが必要屋外や屋内など幅広い場所で行える
注意点水中でのバランス、転倒、体調変化坂道、距離、歩く速度、路面状況

どちらか一方がすべての人にとって優れているわけではありません。

陸上を歩くことがつらい人が、水中で身体を動かすことから始める方法もありますし、陸上歩行に問題がない人なら、そのままウォーキングを続ける方法もあります。

水中運動は陸上運動の代わりとしてだけでなく、運動の選択肢を広げる方法として考えるとよいでしょう。

歩く量そのものの調整については、こちらの記事も参考にしてください。

膝が痛いとき、歩く量は減らすべき?休みすぎ・歩きすぎを防ぐ方法

膝の痛みと運動方法についてお悩みの方へ歩くと痛む、水中なら動きやすい、運動後に膝が重くなるなど、気になっていることをお知らせください。

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久が原整体院では、膝だけでなく身体全体の動きを確認します

膝の痛みがあると、どうしても痛い膝そのものに意識が向きやすくなります。

しかし、立つ、歩く、方向を変える、階段を上るといった動作では、膝だけが単独で働いているわけではありません。

骨盤や股関節、足首、背骨、身体全体のバランスなど、複数の部分が協力して動いています。

久が原整体院では、最初に現在のお悩みや、日常生活で困っている動作についてお話を伺います。

そのうえで、次のような点を確認しています。

  • 立ったときの姿勢や重力線
  • 骨盤と背骨の位置関係
  • 股関節の曲げ伸ばしや脚の動き
  • 膝の曲げ伸ばしや身体の使い方
  • 歩行や身体全体のバランス

もちろん、膝の痛みの原因が必ず骨盤や姿勢にあるというわけではありません。

大切なのは、痛みの場所だけで原因を決めつけず、実際の動作や身体の状態を確認することです。

状態を整理し、分かりやすく説明したうえで、必要に応じて日常生活の工夫や自宅での運動についてもお伝えしています。

当院の身体の軸・骨盤・姿勢についての考え方は、骨盤はカラダの軸|姿勢・歩き方との関係でも紹介しています。

なお、この記事で紹介している水中ウォーキングは、プールなどで行う運動の選択肢です。当院がプールで水中運動を提供しているという案内ではありません。

久が原整体院では、お悩みを伺い、身体全体の状態を確認してから対応を考えています。

よくある質問

水中ウォーキングは泳げなくてもできますか?

水中ウォーキングそのものに泳ぐ技術は必要ありません。ただし、プール内で安全に立って歩けることが前提です。水深や施設の環境に注意し、不安がある場合は手すりやスタッフのサポートを利用してください。

水中ウォーキングは毎日行った方がよいですか?

毎日行うことが全員に適しているわけではありません。運動後や翌日の膝の状態、疲れ方を確認しながら頻度を考えることが大切です。研究で行われた運動プログラムの回数や期間もさまざまで、すべての人に同じ量を勧められるわけではありません。

水中ウォーキングをすれば変形性膝関節症は治りますか?

水中運動は、変形性膝関節症の痛みや身体機能を支える選択肢の一つですが、関節の変形を元に戻す治療ではありません。運動による効果にも個人差があります。

水中ウォーキングと水泳はどちらがよいですか?

どちらが合うかは、膝の状態や泳法、体力などによって異なります。水中ウォーキングは歩く動作を自分のペースで調整しやすい一方、水泳では泳法によって脚の動きが変わります。膝に違和感が出る動きは無理に続けないでください。

温泉に入るだけでも水中ウォーキングと同じ効果がありますか?

同じではありません。温かい水に浸かることと、水の浮力・抵抗を利用して身体を動かす水中運動は異なります。運動による筋力や身体機能への刺激を期待する場合は、実際に身体を動かす必要があります。

まとめ|膝が痛いときは水中運動も選択肢の一つ

膝の痛みがあると、歩くことや階段の上り下りなど、普段何気なく行っていた動作がつらく感じることがあります。

そのようなとき、水中ウォーキングは運動の選択肢になる場合があります。

水の浮力で体重を支える力の一部を水に任せられ、水の抵抗を利用して身体を動かすことができます。

ただし、水中運動が陸上運動より必ず優れているわけではありません。また、水の中でも膝には負荷がかかります。

始める際は、次のポイントを意識しましょう。

  • 安全に立てる水深の場所を選ぶ。
  • 最初は短時間・ゆっくりした歩行から始める。
  • 無理に大きな歩幅や速い動きをしない。
  • 運動中だけでなく、運動後や翌日の膝の反応も確認する。
  • 痛みや腫れが強くなる場合は運動を中止する。

大切なのは、水中でも陸上でも、今の自分の膝の状態に合った運動方法を見つけることです。

膝の痛みを理由にすべての運動を諦めるのではなく、身体の状態に合わせて無理のない方法を考えてみましょう。

膝の痛みや身体の動きについて、気になることはありませんか?久が原整体院では、膝だけでなく、姿勢・重力線・骨盤・股関節など、身体全体の動きを確認しています。

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現在の症状や日常生活で困っていることを、分かる範囲でお知らせください。

参考資料・研究


  1. 日本整形外科学会「変形性膝関節症診療ガイドライン2023」
    膝の変形性関節症に対する運動療法の推奨と、陸上運動・水中運動などの検討。

  2. German Society for Orthopaedics and Trauma Surgery et al. Clinical Guideline: Prevention and Treatment of Knee Osteoarthritis 2024. English Short Version.
    水中運動を膝の変形性関節症に対する選択肢として提案する推奨33。

  3. Efficacy and safety of aquatic exercise in knee osteoarthritis: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. 2023.
    膝の変形性関節症に対する水中運動の有効性と安全性を調べたメタ解析。

  4. Comparative Effectiveness of Aquatic Versus Land-Based Exercise on Pain, Physical Function, and Quality of Life in People with Knee Osteoarthritis: An Updated Systematic Review of Randomised Controlled Trials. 2026.
    水中運動と陸上運動の比較。9件のランダム化比較試験、700人を対象にした更新レビュー。

  5. Jiang Y, Peng Y. Effects of aquatic rehabilitation on symptoms, physical function, and quality of life in individuals with knee joint dysfunction: a meta-analysis. Frontiers in Physiology. 2026.
    29研究・1,984人を対象とした水中リハビリテーションのメタ解析。膝の変形性関節症だけでなく、複数の膝の疾患が含まれる。

  6. University of Washington Orthopaedics. Water Exercises.
    関節炎のある人に向けた水中運動の仕組み、始め方、安全上の注意。

  7. Royal Australian College of General Practitioners. Aquatic Exercise: Knee and Hip Osteoarthritis.
    膝・股関節の変形性関節症に対する水中運動の実践情報。

  8. 水中運動が変形性膝関節症患者の下肢筋力および呼吸筋力に与える影響:症例報告. 2025.
    72歳女性1名を対象とした8週間の水中運動の症例報告。単一症例のため、一般的な効果を証明する研究ではない。

※水中運動の研究は、対象者やプログラム、運動時間、期間がそれぞれ異なります。研究結果がすべての膝痛に当てはまるわけではありません。この記事は一般的な情報提供を目的としており、診断や個別の運動処方を行うものではありません。