駅の階段を上ろうとすると、膝にズキッと痛みが走る。自宅の階段を上るとき、途中で膝がつらくなる。平らな道を歩くのはそれほど問題ないのに、階段になると膝の前側や内側が痛む。このようなお悩みはありませんか?
階段を上る動作は、平地を歩く動作とは少し違います。
一段ずつ身体を持ち上げるため、太ももの筋肉や膝関節、股関節などが協力して働きます。
特に、膝を曲げた状態で体重を支え、身体を上へ押し上げるときには、膝の周囲に負担がかかります。
そのため、膝関節や周辺組織の状態、筋肉の働き、身体の動かし方などによって、階段を上るときに痛みが出る場合があります。
階段を上ると膝が痛い場合、膝の関節だけでなく、太ももや股関節など、身体を持ち上げるときに働く部分にも目を向けることが大切です。
この記事では、階段を上ると膝が痛くなる仕組み、考えられる要因、日常生活でできる工夫について、大田区・久が原整体院が解説します。
階段を上ると膝が痛くなるのはなぜ?
階段を上るとき、私たちの身体にはどのような動きが起きているのでしょうか。
まず片脚を一段上に乗せ、そこに体重を移動させます。
その後、太ももの前側やお尻の筋肉などを使って身体を持ち上げ、反対側の脚を次の段へ運びます。
このとき、主に働いているのが次の部分です。
- 大腿四頭筋:膝を伸ばし、身体を持ち上げる
- 大殿筋:股関節を伸ばし、身体を上へ押し上げる
- 股関節周辺の筋肉:脚や骨盤の動きを支える
- ふくらはぎの筋肉:足首を使い、身体を支える
- 体幹の筋肉:身体の姿勢やバランスを保つ
膝を曲げながら体重を受け止め、その状態から身体を上へ押し上げるため、太ももの筋肉や膝のお皿の周辺には負荷がかかります。
特に膝を曲げた状態で体重がかかると、膝蓋骨(膝のお皿)と大腿骨の間にある膝蓋大腿関節にも力が加わります。
関節や周辺組織の状態によっては、この負荷が痛みにつながる場合があります。
また、股関節や足首の動きが十分でない場合、身体の持ち上げ方や重心の移動が変わることもあります。
階段を上る動作は、膝だけで身体を持ち上げているわけではありません。太もも・股関節・足首・体幹が協調して働いています。
階段を上ると膝が痛いときに考えられる5つの要因
1.膝蓋大腿関節への負担
膝のお皿である膝蓋骨は、膝を曲げ伸ばしするときに大切な役割を担っています。
膝蓋骨と太ももの骨である大腿骨の間には、膝蓋大腿関節という関節があります。
この関節は、太ももの筋肉が膝を伸ばす力を効率よく伝えるためにも重要です。
階段を上るときは、膝を曲げた状態で体重を支え、身体を持ち上げる動作を繰り返します。
そのため、膝蓋大腿関節に負担がかかり、膝のお皿の周囲や前側に痛みが出る場合があります。
例えば次のような症状です。
- 階段を上ると膝のお皿の周辺が痛い
- しゃがむと膝の前側が気になる
- 椅子から立ち上がると膝のお皿の周囲が痛い
- 長時間座ったあとに膝の前側が気になる
このような前側の痛みには、膝蓋大腿関節痛などが関係している場合があります。
ただし、膝の前側が痛いというだけで、特定の関節の病気と判断することはできません。
2.変形性膝関節症による関節の変化
階段を上ると膝が痛い場合、知っておきたい疾患の一つが変形性膝関節症です。
変形性膝関節症は、膝関節の軟骨や骨、半月板などの関節を構成する組織に変化が起こる疾患です。
年齢による変化だけでなく、過去のけが、体重、関節への負荷、体質など複数の要素が関係しています。
日本整形外科学会によると、変形性膝関節症では、初期に立ち上がりや歩き始めなどの動作開始時に痛みが出ることがあり、進行すると正座や階段の昇降が難しくなる場合があります。
次のような症状がないか確認してみましょう。
- 階段を上ると膝が痛い
- 立ち上がりや歩き始めにも膝が痛む
- 膝がこわばり、曲げ伸ばししにくい
- 膝の周囲が腫れることがある
- 以前より階段の上り下りがつらくなった
階段の上りで膝が痛いからといって、必ず変形性膝関節症というわけではありません。痛みの場所や経過、ほかの動作での症状も合わせて確認する必要があります。
3.太ももの筋肉の筋力や働き
膝を支えるために重要な筋肉が、太ももの前側にある大腿四頭筋です。
大腿四頭筋は膝を伸ばす働きを持ち、階段を上るときには身体を上方向へ持ち上げるために働きます。
この筋肉の筋力や持久力が低下すると、階段を上るときに必要な動作を行いにくくなる場合があります。
また、筋肉の働きは筋力だけではありません。
身体を支えるタイミングや、股関節と協調して動くことも重要です。
長時間座っている生活や運動不足などが続いている場合は、太ももの筋肉の状態にも目を向けてみましょう。
日本整形外科学会も、変形性膝関節症の日常生活上の注意として、大腿四頭筋のトレーニングを挙げています。
ただし、太ももの筋力が弱いことだけで膝痛の原因を説明できるわけではありません。
4.股関節やお尻の筋肉の働き
階段を上るとき、身体を持ち上げる役割を担うのは膝だけではありません。
股関節やお尻の筋肉も大切な働きをしています。
特に大殿筋は、股関節を伸ばす働きを持ち、身体を上方向へ押し上げる動作に関係しています。
また、股関節の外側にある筋肉は、片脚で身体を支えるときの骨盤の安定にも関係しています。
股関節周辺の筋力や動きが十分でない場合、脚の運び方や身体のバランスが変わることがあります。
その結果、膝にかかる負担の感じ方にも影響する可能性があります。
膝の痛みを考えるときは、膝だけでなく股関節やお尻の筋肉も含めて確認することが大切です。
5.足首の動きや身体全体の使い方
階段を上るときは、足首も重要な役割を担っています。
足首が十分に曲がることで、膝や股関節を適切に使いながら身体を上へ移動させることができます。
例えば、足首の動きが制限されていると、階段を上るときに身体を前へ倒したり、足の置き方を変えたりすることがあります。
また、左右どちらかの脚に体重をかける時間が長くなっていたり、片側に身体が傾いていたりすると、左右の膝で負担の感じ方が異なる場合があります。
確認したいポイントは次のとおりです。
- 左右で足首の動かしやすさに違いがある
- 片側の脚に体重をかけにくい
- 階段を上るときに身体が左右に傾く
- 片脚で身体を支えると不安定に感じる
- 股関節や骨盤の動きに左右差がある
階段を上ると膝が痛いときは、膝・股関節・足首がどのように連動しているかを確認することも大切です。

階段を上るとき、膝のどこが痛みますか?
膝の痛みは、どこに出るかによって確認したいポイントが変わります。
膝のお皿の周辺・前側が痛い
膝のお皿の周囲に痛みが出る場合、膝蓋大腿関節や膝の前側の組織などが関係している可能性があります。
階段だけでなく、しゃがむ、椅子から立ち上がる、長時間座ったあとなどにも痛みが出るか確認してみましょう。
膝の内側が痛い
膝の内側には、関節軟骨や半月板、靱帯、筋肉や腱など、さまざまな組織があります。
階段を上るときに内側が痛む場合は、歩行時や立ち上がりでも痛むか、腫れやこわばりがあるかなどを確認することが大切です。
膝の下側が痛い
膝のお皿の下には、膝蓋腱という組織があります。
膝を伸ばす筋肉の力を下腿へ伝える役割があり、階段やジャンプなどの動作にも関係しています。
膝のお皿の下に局所的な痛みがある場合は、膝蓋腱などの周囲組織への負担も考慮する必要があります。
ただし、痛む場所だけで原因を決めることはできません。
膝の裏側が痛い
膝の裏側には、筋肉や腱、関節周辺の組織があります。
膝を曲げたり伸ばしたりするときに痛む場合や、階段を上るときに張るような感じがある場合は、膝の裏側の状態も確認したいところです。
階段を上るときと下りるときでは何が違う?
階段を上るときと下りるときでは、身体の使い方が異なります。
上るときは、片脚で体重を支えながら、太ももの前側やお尻の筋肉を使って身体を持ち上げます。
一方、下りるときは、身体が急に落ちないように太ももの筋肉などでブレーキをかけながら、ゆっくり体重を移動させます。
そのため、同じ階段でも上りと下りで膝への負荷のかかり方が異なります。
上りだけ痛いのか、下りだけ痛いのか、それとも両方痛むのかを整理することは、膝の状態を把握するための手掛かりになります。
階段の上りと下りでは筋肉の働き方が違います。どちらの動作で痛むかを確認してみましょう。
階段を下りるときの痛みについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
階段を上ると膝が痛いときの日常生活の工夫
1.手すりを利用して身体を安定させる
階段を上るときに膝が痛む場合は、手すりを利用して身体を安定させましょう。
手すりを使うことで、身体を支える助けとなり、必要以上に膝へ負担をかけずに動作しやすくなります。
特に、膝の痛みが強いときや、身体が不安定に感じるときには、無理に手すりを使わずに上ろうとしないことが大切です。
2.一段ずつゆっくり上る
急いで階段を上ると、身体の重心移動が速くなり、膝や股関節に負担がかかる場合があります。
まずは一段ずつ、足をしっかり置いてから次の段へ移るようにしましょう。
痛みが強い場合は、無理に続けず、エレベーターやエスカレーターなどを利用することも考えてください。
3.足を置く位置と身体の向きを確認する
階段では、足を置く位置や身体の向きによって、膝の曲がり方や重心の位置が変わります。
身体をねじったまま階段を上ったり、足先と膝の向きが大きくずれた状態で踏み込んだりしないように意識しましょう。
身体を正面に向け、足裏を安定させて、一段ずつ動くことを意識してみてください。
4.太ももと股関節の筋肉を無理なく動かす
膝を支える大腿四頭筋や、股関節を支えるお尻の筋肉などを適切に働かせることは、膝の機能を考えるうえで重要です。
膝の状態に応じて、次のような運動が選択肢になります。
椅子に座って行う太ももの運動
- 安定した椅子に座ります。
- 片脚をゆっくり前に伸ばします。
- 太ももの前側に力が入ることを意識します。
- 無理のない範囲で数秒保ちます。
- ゆっくり元に戻します。
- 反対側も同じように行います。
最初は左右それぞれ5回程度を目安に、痛みのない範囲で行いましょう。
膝に鋭い痛みが出たり、運動後に腫れや痛みが増したりする場合は中止してください。
膝の痛みに対する運動療法では、太ももの筋肉だけでなく、股関節周辺の筋肉も対象にした運動が研究されています。
ただし、運動内容や強度は膝の状態に応じて調整する必要があります。
5.痛みが強い日は階段の回数を減らす
膝が痛いときに、無理をして何度も階段を上る必要はありません。
エレベーターを使う、買い物の荷物を分ける、外出時には休憩を取るなど、膝への負担を調整する方法を考えてみましょう。
大切なのは、痛みを我慢して運動量を増やすことではなく、今の状態に合った活動量を保つことです。
変形性膝関節症に対しては、個々の状態に合わせた運動療法が推奨されています。
日本整形外科学会の資料やNICEの診療ガイドラインでも、筋力強化や有酸素運動などの運動療法が取り上げられています。
NICE「Osteoarthritis in over 16s」
膝の痛みと骨盤・股関節の関係
階段を上る動作では、膝だけでなく骨盤や股関節も働いています。
例えば、階段を一段上るときには、股関節を曲げて脚を持ち上げ、足を段に置いたあと、お尻の筋肉を使って身体を持ち上げます。
この一連の動作の中で、膝は体重を支えながら曲げ伸ばしを行います。
もし股関節の動きが制限されていたり、左右で身体の使い方に違いがあったりすると、階段を上るときの重心移動や脚の使い方にも変化が出る場合があります。
その結果、膝にかかる負担の感じ方が変わることも考えられます。
また、膝の痛みをかばうことで、反対側の脚や腰に負担がかかる場合もあります。
階段を上ると膝が痛いときは、膝だけを確認するのではなく、骨盤・股関節・足首の連動や身体全体の動きにも目を向けることが大切です。
膝と腰の連動については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
このような膝の症状がある場合は注意しましょう
階段を上ると膝が痛い場合でも、すべてが同じ原因とは限りません。
特に次のような症状を伴う場合は、無理に動かし続けないことが大切です。
- 転倒やひねりのあとに強い痛みが出た
- 膝が急に大きく腫れた
- 膝が赤く、熱を持っている
- 体重をかけられない
- 膝が動かせない、引っかかって伸びない
- 発熱や強い体調不良を伴っている
このような場合は、自己判断で運動や施術を続けず、医療機関で膝の状態を確認してください。
特に赤みや強い熱感、発熱を伴う急な腫れは、早急な評価が必要になることがあります。
久が原整体院では膝だけでなく身体全体の動きを確認します

久が原整体院では、階段を上ると膝が痛いというお悩みに対して、痛みのある膝だけで判断するのではなく、身体全体の動きにも目を向けています。
例えば、次のような点を確認しています。
- 階段を上るときの身体の重心移動
- 左右の脚の使い方
- 膝の曲げ伸ばしの状態
- 骨盤や股関節の動き
- 足首や足部の動き
- 立位や歩行時の姿勢
膝の痛みが出ている部分だけでなく、どのような動作で負担がかかっているのかを確認することが大切だと考えています。
当院では、姿勢や重力線、身体全体の動きを確認しながら、一人ひとりの状態に合わせて施術方針を検討します。
強く身体をひねったり、無理な力を加えたりする施術は行いません。
また、変形性膝関節症などの病気を整体院で診断することはできません。急な腫れや強い痛みなどがある場合は、医療機関での評価を優先します。
膝の痛い部分だけを見るのではなく、骨盤や股関節、足首まで含めた身体全体の動きを確認することを大切にしています。
階段を上ると膝が痛いときによくある質問
Q.階段を上るときだけ膝が痛いのはなぜですか?
階段を上るときは、身体を一段上へ持ち上げるために、太ももの筋肉や股関節、膝関節が働きます。膝のお皿周辺や関節の状態、筋肉の働きなどが関係して痛みが出る場合があります。
Q.階段の上りと下りで膝の痛みが違うのはなぜですか?
上るときは身体を持ち上げ、下りるときは身体が急に落ちないように筋肉でブレーキをかけます。筋肉の働きや膝への負荷のかかり方が異なるため、症状にも違いが出ることがあります。
Q.膝が痛くても階段を上った方がよいですか?
痛みの程度や膝の状態によって異なります。痛みを我慢して何度も上る必要はありません。手すりを利用する、階段の回数を減らすなど、負担を調整してください。
Q.太ももの筋肉を鍛えると膝の痛みは軽くなりますか?
変形性膝関節症などでは、太ももの筋力強化を含む運動療法が推奨されています。ただし、痛みの原因や状態によって適した運動は異なります。無理をせず、身体の状態に合った方法を選ぶことが大切です。
まとめ|階段を上ると膝が痛いときは身体全体を確認しましょう
階段を上ると膝が痛くなる場合、膝蓋大腿関節への負担、変形性膝関節症、太ももの筋肉、股関節や足首の動きなど、さまざまな要因が考えられます。
特に確認したいのは次のポイントです。
- 膝のお皿の周辺が痛むのか
- 膝の内側や裏側に痛みがあるのか
- 階段の上りと下りのどちらで痛むのか
- 太ももの筋肉が十分に働いているか
- 股関節や足首の動きに違いがないか
- 膝だけでなく身体全体のバランスはどうか
日常生活では、手すりを利用する、一段ずつゆっくり上る、痛みが強い日は階段の回数を減らすなどの工夫をしてみましょう。
階段を上ると膝が痛い場合、膝の関節だけに注目せず、身体を持ち上げるときの筋肉や股関節の働きも含めて確認することが大切です。
大田区・久が原周辺で膝の痛みにお悩みの方へ
久が原整体院では、膝の痛みについてお話を伺い、姿勢や重力線、骨盤、股関節、足首なども含めて身体全体の動きを確認しています。
階段を上ると膝が痛い、駅の階段がつらい、太ももや股関節の動きが気になるなど、日常生活でお困りのことがあればご相談ください。
階段を下りると膝が痛い方はこちらをご覧ください。
膝を伸ばすと痛い方はこちらも参考にしてください。
膝の痛み全般についてはこちらをご覧ください。
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参考文献・参考情報
- 日本整形外科学会
変形性膝関節症
変形性膝関節症の症状、階段昇降時の困難、太ももの筋肉のトレーニングなどについて。 - 日本整形外科学会・日本運動器科学会
変形性膝関節症診療ガイドライン2023
変形性膝関節症の病態、症状、診断、運動療法などについて。 - Academy of Orthopaedic Physical Therapy / American Physical Therapy Association
Patellofemoral Pain: Clinical Practice Guidelines
膝蓋大腿関節痛の症状、階段昇降やスクワットとの関係、股関節と膝を対象にした運動療法について。 - National Institute for Health and Care Excellence(NICE)
Osteoarthritis in over 16s: diagnosis and management
変形性関節症に対する個別化された運動療法や筋力強化、有酸素運動について。 - 徳洲会グループ
膝蓋大腿関節症
膝のお皿の周辺の痛みや階段昇降時の症状について。
※この記事は一般的な情報提供を目的としています。症状だけで病名を診断することはできません。急な強い痛み、著しい腫れ、熱感、発熱、歩行困難などがある場合は、医療機関での評価を受けてください。





