
健康のためにランニングを続けていたのに、最近、走ると膝が痛くなる。
走り始めは問題ないのに、数キロ走ると膝の外側が気になってくる。
走り終わった後や、翌朝になってから膝が重くなる。
このようなお悩みはありませんか?
運動不足を解消したい、健康のために走りたい、マラソン大会に出たいなど、ランニングを続ける理由は人それぞれです。
しかし、膝に痛みが出てくると、このまま走り続けてもよいのか、それとも一度休んだ方がよいのか迷ってしまいます。
膝の痛みにはいくつかの種類があり、痛む場所や出るタイミングによって考えるべきことも変わります。
まず知っておきたいこと
- ランニングによる膝の痛みは、すべて同じ原因ではありません。
- 膝のお皿周辺、膝の外側、膝のお皿の下など、痛む場所によって考えられる状態が異なります。
- 走行距離や速度、坂道、練習頻度などが急に変わっていないか確認することも大切です。
- 痛みを我慢して走り続けるのではなく、状態に合わせて休む・調整する判断が必要です。
大切なのは、膝の痛みを我慢して走ることではなく、今の状態に合った運動量を見つけることです。
走ると膝が痛くなる方へいつから痛むのか、走り始め・走行中・走った後のどのタイミングで気になるのか、まずは整理してみましょう。
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現在の症状や、日常生活で困っている動作を分かる範囲でお知らせください。
ランニングで膝が痛くなるのはなぜ?
ランニングでは、片脚ずつ地面に着地しながら身体を前に進めます。
歩行と比べると、着地と蹴り出しを繰り返す速度が速く、同じ動きを何度も繰り返すことになります。
そのため、走行距離や頻度、スピード、路面の状態などが変わると、膝周辺にかかる負荷も変化します。
ただし、走ることそのものが膝を壊すわけではありません。練習量だけで原因が決まるわけでもありません。
1.走る距離や頻度が急に増えていないか
以前は週に1回程度だったランニングを、急に週3〜4回に増やした。
大会に向けて、今までより長い距離を走るようになった。
しばらく休んでいたのに、以前と同じ距離を走り始めた。
このような変化がなかったか振り返ってみましょう。
身体が運動量の変化に適応するには時間が必要です。走る距離や練習頻度を急に増やすことは、膝の痛みにつながる要素の一つとして考えられています。
北海道マラソン参加者554人を調べた日本の研究では、冬から夏にかけて走行距離が大きく変化したランナーほど、身体の痛みの発生率が高い傾向が報告されています。
この研究はアンケートによる観察研究であり、走行距離だけが痛みの原因だと証明したものではありません。しかし、練習量を急激に変えないことを考える材料にはなります。
2.坂道や下り坂を走る機会が増えていないか
いつも平坦な道路を走っていたのに、最近は坂道や起伏の多いコースを走るようになった。
このような場合も、練習環境の変化を確認する必要があります。
特に下り坂では、身体が前に進む速度をコントロールしながら着地する必要があります。
膝を曲げた状態で身体を支える働きが増えるため、膝周辺に負担を感じる人もいます。
ただし、下り坂を走ったから必ず膝を痛めるわけではありません。距離や速度、身体の状態なども関係します。
3.走るスピードや練習内容が変わっていないか
以前はゆっくりしたジョギングが中心だったのに、最近はスピードを上げた練習やインターバル走を始めた。
長い距離を走る日と、速く走る日を続けて設定している。
このような変化があると、膝だけでなく下半身全体にかかる負荷が変わる場合があります。
距離を延ばすこと、スピードを上げること、坂道を増やすことを同時に行わず、変更する項目を一つずつにして身体の反応を確認するとよいでしょう。
4.靴や走る場所を変えていないか
新しいランニングシューズに替えた、靴底がかなりすり減った、いつもの公園から舗装路に変えたなど、環境の変化も確認してみましょう。
シューズは、足に合っているか、履いていて違和感がないか、長期間使用して傷んでいないかを見直すことが大切です。
ただし、特定の靴に替えれば膝痛が解決するわけではありません。
シューズの変更と練習量の増加を同時に行うと、何が身体に影響したのか分かりにくくなることもあります。
膝のどこが痛い?痛む場所によって考えられること
ランニングによる膝痛を考えるとき、痛みが出る場所は重要な手掛かりになります。
ただし、場所だけで病名を確定することはできません。実際には診察や身体の状態の確認が必要です。
膝のお皿の周辺・奥が痛い場合
膝のお皿の周辺や奥に痛みが出る場合、膝蓋大腿関節痛(しつがいだいたいこつかんせつつう)が関係している可能性があります。
これは膝のお皿と太ももの骨の間にある関節周辺に痛みを感じる状態です。
ランニングのほか、階段の上り下り、しゃがむ動作、長時間膝を曲げて座ることなどでも痛みが出る場合があります。
特に、膝を曲げて体重を支える動作で痛みが強くなることがあります。
ただし、膝のお皿の周辺が痛いからといって、必ずこの状態だとは限りません。
膝の外側が痛い場合
ランニング中に膝の外側が痛む場合、腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)が考えられることがあります。
腸脛靭帯は太ももの外側にある組織で、股関節から膝の外側につながっています。
ランニングのように膝の曲げ伸ばしを繰り返す運動を行う人に見られることがあり、「ランナー膝」と呼ばれる場合もあります。
走り始めは問題なくても、一定の距離を走った後に膝の外側が痛くなる、下り坂で痛みが強くなるなどの特徴がみられることがあります。
ただし、膝外側の痛みには、外側半月板や関節の問題など別の原因も考えられます。
膝のお皿の下が痛い場合
膝のお皿のすぐ下には、膝蓋腱(しつがいけん)という腱があります。
ジャンプや走る動作など、繰り返し負荷がかかる運動では、この部分に痛みが生じることがあります。
膝蓋腱に関連する痛みは、ジャンプ動作や走り始め、階段などで気になる場合があります。
ただし、膝のお皿の下が痛むからといって、必ず膝蓋腱の問題とは限りません。
痛む場所を整理してみましょう
- 膝のお皿の周辺や奥:膝蓋大腿関節周辺の痛みなど
- 膝の外側:腸脛靭帯や関節周辺の問題など
- 膝のお皿の下:膝蓋腱などの問題
- 膝の内側:鵞足部や内側半月板などの問題
これらはあくまで考えられる例です。痛む場所だけで自己診断しないようにしましょう。
走り続けてもいい?ランニングを休む目安
膝が痛いとき、最も迷うのが「このまま走り続けてもいいのか」という問題ではないでしょうか。
運動習慣を維持したい人にとって、休むことは簡単ではありません。
しかし、痛みを我慢して走り続ける必要はありません。
走っている途中で痛みが強くなる場合
走り始めは軽い違和感だったのに、距離が延びるにつれて痛みが強くなってくる。
着地するたびに膝が気になり、自然と脚をかばうようになる。
このような場合は、その日のランニングを中止してください。
痛みをかばった結果、普段とは違う動き方になることもあります。
走った後に腫れや痛みが残る場合
走り終えたあとに膝が腫れている、熱っぽい、曲げ伸ばしがしにくいなどの変化がある場合は、次のランニングを急がないようにしましょう。
翌日になって痛みが強くなっている場合も、前回の運動量が今の状態に合っていなかった可能性があります。
歩行や日常生活でも痛みが出る場合
ランニング中だけでなく、普通に歩く、階段を使う、椅子から立ち上がるといった動作でも痛みが出る場合は、走ることをいったん控える必要があります。
日常動作に影響が出ている場合は、ランニングだけの問題と考えず、膝の状態を確認することが大切です。
痛みを我慢して走ることは避ける
英国NHSのランニング障害に関する案内では、膝が痛む状態で走ることを避け、十分に回復してから再開するよう説明しています。
また、痛みが強い場合や腫れがある場合には、医療機関での確認が必要とされています。
走れる距離を無理に維持することより、膝の状態を悪化させないことを優先しましょう。

ランニングを再開するときに確認したいこと
膝の痛みが落ち着いてくると、早く元の練習に戻りたくなるものです。
しかし、痛みが少し軽くなったからといって、すぐに以前と同じ距離を走る必要はありません。
再開するときは、いくつかの条件を確認しながら進めましょう。
1.日常の歩行や階段で痛みが強く出ていないか
まずは普通に歩いたとき、階段を上り下りしたときなど、普段の動作で膝の状態を確認してみます。
日常生活でも痛みや腫れが残っている場合は、ランニングの再開を急がない方がよいでしょう。
2.最初は平坦なコースを選ぶ
再開するときは、起伏の多い場所や下り坂を避け、走る環境をできるだけシンプルにします。
急な坂道や速いスピードは後回しにして、まずは身体の反応を確認しましょう。
3.歩く時間と軽いジョギングを組み合わせる
いきなり長い距離を連続して走るのではなく、歩く時間を挟みながら短いジョギングを試す方法があります。
ただし、再開できるタイミングや運動量は、痛みの原因や状態によって異なります。
痛みが出る場合は中止し、前の段階に戻って状態を確認してください。
4.距離・速度・頻度を同時に増やさない
再開後に走れるようになってきても、距離・スピード・練習回数を一気に増やす必要はありません。
例えば、距離を増やす週はスピードを上げない、練習頻度を増やす場合は一回あたりの距離を控えるなど、変化を一つずつにします。
よく「走行距離を毎週10%ずつ増やす」という話がありますが、すべての人に当てはまる安全基準ではありません。
身体の状態や過去の運動量によって適切な進め方は変わります。
5.走った後と翌朝の状態を確認する
走っているときに問題がなくても、帰宅後や翌朝になって痛みが出ることがあります。
次のような点を確認してください。
- 走っている途中に痛みが出なかったか。
- 走り終わった後に膝が腫れていないか。
- 翌朝、歩くときの痛みが増えていないか。
- 階段や立ち上がりの動作に変化がないか。
こうした反応を見ながら進めることで、運動量の調整がしやすくなります。
変形性膝関節症でもランニングはできる?
膝の痛みがある人の中には、変形性膝関節症を指摘されたことがある方もいると思います。
その場合、「軟骨がすり減っているなら走らない方がいいのでは」と心配になるかもしれません。
しかし、変形性膝関節症がある人すべてに、同じ運動制限が必要というわけではありません。
2024年に欧州リウマチ学会誌に掲載されたレビューでは、歩行、ランニング、レクリエーションスポーツなどの一般的な身体活動について、膝の変形性関節症の構造的な進行を促すという一貫した証拠は確認されていないと報告されています。
ただし、この研究はさまざまな研究をまとめたレビューであり、痛みがあるすべての人がランニングを続けてよいと証明したものではありません。
特に、現在の痛みの強さ、関節の腫れ、既往歴、運動量によって適した方法は変わります。
変形性膝関節症という言葉だけで運動を諦めるのではなく、今の膝の状態に合った活動を考えることが大切です。
日常の歩行量をどう調整するかについては、こちらの記事も参考にしてください。
膝が痛いとき、歩く量は減らすべき?休みすぎ・歩きすぎを防ぐ方法
ランニングを控えて身体の状態を確認したいケース
次のような状態では、ランニングを続けず、医療機関で状態を確認してください。
- 転倒やひねりの直後から強い痛みが出た。
- 膝が急に大きく腫れた、または形が変わった。
- 体重をかけられない、膝が動かせない。
- 膝がロックしたように伸びない、繰り返し崩れる。
- 膝が赤く熱を持ち、発熱を伴っている。
これらは見逃せない症状です。整体で診断できるものではありません。
久が原整体院では、膝だけでなく身体全体の動きを確認します
ランニングで膝が痛くなると、どうしても痛みが出ている膝だけに意識が向きやすくなります。
しかし、走る動作では、膝だけでなく、股関節、足首、骨盤、背骨、身体全体のバランスなど、さまざまな部分が関わっています。
もちろん、膝の痛みが必ず骨盤や姿勢に原因があるわけではありません。
痛みの場所だけで原因を決めつけず、どのような動作で困っているのか、日常生活や運動習慣にどのような変化があったのかを確認することが大切です。
久が原整体院では、最初にお話を伺い、現在の症状や生活で困っている動作を確認します。
そのうえで、姿勢や重力線、骨盤、股関節、背骨、足首などを含めた身体全体の動きを確認し、状態を整理して説明することを大切にしています。
必要に応じて、日常生活での工夫や自宅で行える運動についてもお伝えしています。
ランニングの専門的なフォーム指導や、医療機関での診断・検査を代わりに行うものではありませんが、身体の状態や動きについて整理する機会としてご利用いただけます。
膝のお悩みについて、現在の状態を確認したい方は、まずはお気軽にご相談ください。
ランニングを続けたいけれど、膝が心配な方へ走ると膝が痛い、走った翌日に膝が重い、運動を再開してよいか迷うなど、今の悩みをお聞かせください。
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「いつから痛むか」「どの場所が痛むか」「どのくらい走ると痛くなるか」など、分かる範囲でお送りください。

よくある質問
走り始めは痛くないのに、途中から膝が痛くなるのはなぜですか?
走行時間や距離が増えるにつれて、膝周辺にかかる負荷が変化している可能性があります。ただし、途中から痛むというタイミングだけで原因を特定することはできません。痛む場所、走行距離、速度、坂道の有無などを整理してみましょう。
ランナー膝といわれたら、走るのをやめなければいけませんか?
ランナー膝という言葉は、使われる場面によって指す状態が異なることがあります。膝の外側の腸脛靭帯炎を指す場合もあれば、膝のお皿周辺の痛みを意味する場合もあります。実際の状態に合わせて、運動の量や内容を調整することが必要です。
膝が痛いとき、自転車なら運動してもよいですか?
自転車は、ランニングとは異なる運動の選択肢になる場合があります。ただし、自転車でも膝に痛みが出ることがあります。軽い負荷でも痛みが増える場合は中止し、無理に別の運動へ切り替えないようにしましょう。
変形性膝関節症と診断されても走れますか?
変形性膝関節症がある人すべてに、ランニングが禁止されるわけではありません。ただし、膝の状態や痛み、運動経験などによって適した活動は変わります。現在痛みがある場合は、医療機関などで状態を確認したうえで運動方法を考えてください。
ランニングシューズを新しくすれば膝痛は改善しますか?
シューズの変更だけで膝痛が解決するとは限りません。靴が足に合っているか、傷んでいないかは確認したいポイントですが、練習量、走る環境、身体の動きなども関係する可能性があります。
まとめ|膝の痛みを確認しながらランニングと付き合おう
ランニングによる膝の痛みには、膝のお皿周辺、外側、膝のお皿の下など、さまざまな場所の痛みがあります。
また、走行距離やスピード、坂道、練習頻度、シューズなど、日々の運動環境も一緒に確認することが大切です。
- 走る距離や頻度を急に増やさない。
- 坂道や速いスピードを増やしたときは身体の反応を確認する。
- 痛みが強くなる場合はランニングを中止する。
- 走った後だけでなく、翌日の膝の状態も確認する。
- 再開するときは短い距離・軽い強度から考える。
膝の痛みを我慢して走り続けるのではなく、身体の状態に合わせて運動を調整することが、長く走り続けるための大切な考え方です。
膝の痛みでランニングを楽しめなくなっている方は、まずは痛みの出方や日常生活での変化を整理してみましょう。
参考資料・研究
- Best practice guide for patellofemoral pain based on synthesis of a systematic review, the patient voice and expert clinical reasoning. British Journal of Sports Medicine. 2024.
膝蓋大腿関節痛に関する65件の高品質RCT・3,796人のデータを含むベストプラクティスガイド。 - Dutch multidisciplinary guideline on anterior knee pain: Patellofemoral pain and patellar tendinopathy. Knee Surgery, Sports Traumatology, Arthroscopy. 2025.
膝前面痛、膝蓋腱の痛みに対する運動療法と段階的な負荷調整に関する多職種ガイドライン。 - Willy RW, et al. Patellofemoral Pain. Clinical Practice Guidelines. Journal of Orthopaedic & Sports Physical Therapy. 2019.
膝蓋大腿関節痛の評価と運動療法に関する米国理学療法学会系の臨床ガイドライン。 - National Health Service. Knee pain and other running injuries.
ランニング時の膝痛、運動中止、回復後の再開に関する一般向け情報。 - Voinier D, White DK. Walking, Running, and Recreational Sports for Knee Osteoarthritis: An Overview of the Evidence. European Journal of Rheumatology. 2024.
歩行・ランニング・レクリエーションスポーツと変形性膝関節症の構造的進行についてのレビュー。 - 秋月茜ほか. 北海道マラソンランナーの走行距離および練習頻度の変化と身体の痛み. ランニング学研究. 2019;30(2):219-226.
北海道マラソン参加者554人を対象に、練習距離・頻度の変化と身体の痛みを調べた研究。 - JCHO東京山手メディカルセンター. 腸脛靭帯炎(ランナー膝).
膝外側の痛みと腸脛靭帯炎についての医療機関の解説。
※研究対象や方法はそれぞれ異なります。ランニングによる膝痛の原因を一つに特定するものではなく、すべての人に同じ運動方法が適していると保証するものでもありません。この記事は一般的な情報提供を目的としています。





