朝、ベッドから起き上がって歩き出そうとした瞬間、膝にズキッと痛みが走る。椅子に長く座ったあと、立ち上がって最初の一歩を踏み出すと膝が痛い。ところが、何歩か歩いているうちに少し楽になってくる。
このような経験はありませんか?
歩き始めの一歩で膝が痛むと、外出することや買い物、散歩などもおっくうになってしまいますよね。
実は、歩き始めにだけ膝が痛くなる症状は、変形性膝関節症の初期にも見られる特徴の一つです。
しかし、歩き始めの痛みがすべて変形性膝関節症によるものとは限りません。関節周辺の組織、太ももの筋肉、股関節や足首の動きなど、さまざまな要素が関係している場合があります。
大切なのは、膝の痛みが出るタイミングだけでなく、身体を動かし始めたときに何が起きているのかを確認することです。
この記事では、歩き始めの一歩で膝が痛くなる仕組み、考えられる要因、日常生活でできる工夫について、大田区・久が原整体院が解説します。
歩き始めの一歩で膝が痛くなるのはなぜ?
私たちが歩き始めるとき、身体は静止した状態から動き始めます。
立ち上がり、身体の重心を移動させ、片脚に体重をかけながら反対の脚を前に出します。
このとき、膝だけでなく、股関節、足首、足の裏、骨盤、体幹なども協調して働いています。
特に最初の一歩では、片脚に体重を移すため、膝周辺の筋肉や関節には身体を支える役割が求められます。
長時間座ったあとや朝起きた直後など、しばらく身体を動かしていなかった場合、膝周辺にこわばりを感じることがあります。
その状態で急に歩き出すと、関節や周囲の組織に加わる負荷に身体がうまく対応できず、痛みを感じる場合があります。
動き始めの痛みは、膝の関節そのものだけでなく、関節周辺の組織や筋肉の働きも含めて考えることが大切です。
ただし、歩き始めの痛みが何歩か歩くと軽くなるからといって、必ず問題が軽いという意味ではありません。
歩き始めに膝が痛いときに考えられる5つの要因
1.変形性膝関節症による関節の変化
歩き始めの膝の痛みで、知っておきたいのが変形性膝関節症です。
変形性膝関節症は、膝関節の軟骨や骨、関節周辺の組織などに変化が生じ、痛みや動かしにくさが現れる疾患です。
日本整形外科学会によると、初期には立ち上がりや歩き始めなど、動作を始めたときに痛みが出て、休むと軽くなることがあります。
症状が進むと、正座や階段の上り下りが難しくなり、さらに進行すると安静時にも痛みが出る場合があります。
次のような症状がないか確認してみましょう。
- 朝起きて最初の一歩が痛い
- 長時間座ったあとに膝が痛む
- 歩き始めは痛いが、少し歩くと楽になる
- 階段の上り下りでも膝が気になる
- 膝がこわばり、曲げ伸ばししにくい
歩き始めの痛みは変形性膝関節症で見られる症状ですが、この症状だけで病気を判断することはできません。
年齢だけで決めつけず、痛みの経過や膝の状態を確認することが大切です。
2.膝関節周辺のこわばりや動かしにくさ
長時間座っていたあとや朝起きたときに、膝が固まったように感じることはありませんか?
関節は、骨だけで構成されているわけではありません。
関節を包む関節包、靱帯、腱、筋肉、滑膜など、さまざまな組織が関わっています。
これらの組織の状態や関節の動きによって、しばらく動かなかったあとに膝のこわばりを感じる場合があります。
変形性関節症では、朝や休息後のこわばりが見られることが知られています。
米国国立衛生研究所(NIAMS)も、変形性関節症の特徴として、朝や一定時間休んだあとに現れる関節のこわばりを紹介しています。
重要なのは、膝の中の水がなくなっているということではない点です。
関節の動かしにくさには、複数の組織や身体の状態が関係しています。
3.太ももの筋肉の働きが低下している
膝の動きと深く関係しているのが、太ももの前側にある大腿四頭筋です。
大腿四頭筋は、膝を伸ばす働きを持つ重要な筋肉です。
立ち上がるときや歩くとき、階段を上るときなどにも働き、身体を支える役割を担っています。
この筋肉の筋力が低下すると、立ち上がりや歩行などの動作で、膝を安定させる働きが十分に発揮されにくくなる場合があります。
また、太ももの裏側やお尻の筋肉も、股関節や膝の動きを支えるために働いています。
長時間座る生活や運動不足などによって下半身の筋力が低下している場合は、筋肉の働きにも目を向けたいところです。
日本整形外科学会も、変形性膝関節症の日常生活上の注意として、大腿四頭筋を鍛えることを挙げています。
膝の負担を考えるときは、関節だけでなく、身体を支える太ももやお尻の筋肉の働きも重要です。
4.半月板や膝周辺の組織への負担
膝関節の中には、半月板という組織があります。
半月板は大腿骨と脛骨の間にあり、荷重を分散させたり、関節の安定性を補助したりする役割を担っています。
加齢による変化や外傷などによって半月板に問題が生じると、膝の痛みや引っかかりなどが現れる場合があります。
例えば、次のような症状です。
- 歩き始めに膝の内側が痛む
- 膝を曲げ伸ばしすると引っかかる感じがある
- 膝をひねったあとから痛くなった
- 膝が腫れることがある
- 膝が途中で動かしにくくなる
ただし、膝の内側が痛いから半月板の問題、というように場所だけで判断することはできません。
膝周辺の腱や関節包など、ほかの組織が関係している場合もあります。
5.股関節や足首を含めた身体全体の動き
歩くという動作は、膝だけで行っているわけではありません。
股関節、骨盤、膝、足首、足の裏などが連動して、身体を前方へ移動させています。
例えば、股関節が動きにくかったり、足首の動きが制限されていたりすると、歩き方が変わり、膝への負担のかかり方にも影響する可能性があります。
また、膝の痛みをかばうために、無意識に片側へ体重をかけたり、歩幅が小さくなったりすることもあります。
このような動きの変化は、身体全体のバランスにも関係します。
ただし、骨盤の傾きや姿勢だけで膝の痛みの原因を特定することはできません。
膝だけに注目するのではなく、股関節や足首、骨盤を含めた身体全体の動きを確認することも大切です。

歩き始めの痛みを確認する5つのポイント
同じ歩き始めの膝の痛みでも、どのような状況で痛むのかによって、確認するポイントが変わります。
次の項目を参考に、自分の膝の状態を整理してみましょう。
① 朝起きた直後に痛む
睡眠中に身体を動かしていなかったあと、最初の一歩で痛むのかを確認します。
② 長時間座ったあとに痛む
デスクワークやテレビを見たあと、立ち上がって歩き始めるときに痛みが出るか確認します。
③ 何歩か歩くと痛みが軽くなる
歩き始めだけなのか、歩き続けると再び痛くなるのかを確認します。
④ 膝のどこが痛むのか
膝の内側、外側、前側、裏側など、痛みを感じる位置を確認します。
⑤ 腫れや熱感があるか
膝の周囲が腫れていないか、触ったときに熱っぽくないかも確認します。
いつ痛むか、何歩で楽になるか、どこが痛いか。この3つを整理するだけでも、膝の状態を把握する手がかりになります。
歩き始めの膝の痛みを減らすための日常生活の工夫
1.立ち上がる前に足首や膝を軽く動かす
長時間座っていたあとに、いきなり歩き出すのではなく、立ち上がる前に少し身体を動かしてみましょう。
例えば、椅子に座ったままできる簡単な動きです。
- 足首をゆっくり上下に動かす
- 膝を無理のない範囲で曲げ伸ばしする
- 足の裏を床につけて、左右の足に均等に体重を感じる
大きく動かす必要はありません。痛みの出ない範囲で、ゆっくり行うことが大切です。
2.最初の数歩はゆっくり歩く
歩き始めに痛みがある方は、最初から大きな歩幅で歩こうとしないようにしましょう。
まずは安定した姿勢で立ち、身体を急に前へ倒さず、小さめの歩幅から始めます。
最初の数歩はゆっくりと足を運び、その後も痛みの状態を確認しながら歩くようにしましょう。
痛みを我慢して歩幅を大きくしたり、無理に速度を上げたりする必要はありません。
3.長時間同じ姿勢を続けない
座りっぱなしの時間が長くなると、立ち上がったときに膝のこわばりを感じることがあります。
デスクワークやテレビを見る時間が長い方は、時々姿勢を変えたり、立って足首を動かしたりする習慣をつけてみましょう。
一度に長時間歩くことだけが運動ではありません。
日常生活の中で身体を動かす機会を少しずつ増やしていくことも大切です。
4.太ももの筋肉を無理のない範囲で動かす
膝を支える大腿四頭筋などの筋肉を維持することは、膝の機能を考えるうえで大切です。
例えば、椅子に座ったまま、片脚ずつゆっくり膝を伸ばす運動があります。
椅子に座って行う膝伸ばし運動
- 背もたれのある椅子に座る。
- 片脚をゆっくり前に伸ばす。
- 無理のない範囲で数秒間保つ。
- ゆっくり元の位置に戻す。
- 反対側も同じように行う。
最初は左右それぞれ5回程度を目安に、痛みのない範囲で試してみましょう。
膝に鋭い痛みが出る場合や、腫れが強い場合は行わないでください。痛みが増えるようなら中止し、運動量を見直しましょう。
日本整形外科学会の2023年の変形性膝関節症診療ガイドラインでは、運動療法について、痛みや身体機能、日常生活機能の改善に有用であるとしています。
筋力トレーニングだけでなく、有酸素運動や水中運動なども運動療法の選択肢として扱われています。
ただし、誰にでも同じ運動が適しているわけではありません。現在の膝の状態に合わせて、無理なく続けられる方法を選びましょう。
5.膝に負担が集中する動作を見直す
日常生活では、階段、立ち上がり、しゃがむ動作など、膝に繰り返し負荷がかかる場面があります。
膝の痛みがあるときは、次のような工夫も役立ちます。
- 階段では手すりを利用する
- 椅子から立つときは、足を身体の近くに置く
- 深くしゃがむ動作を無理に繰り返さない
- 長い距離を一度に歩かず、適度に休憩する
- 足に合った安定した靴を選ぶ
膝だけでなく、股関節や足首を含めた動作全体を見直してみましょう。
膝の痛みは骨盤や股関節の動きとも関係する?
ここで、もう一つ注目したいのが、膝と股関節、骨盤の関係です。
歩くときには、股関節が脚を前後に動かし、膝が曲げ伸ばしを行い、足首や足部が地面との接触を調整しています。
さらに、骨盤や体幹は身体全体のバランスを保つために働いています。
例えば、股関節が十分に動かない場合、歩き方が変わることがあります。
膝の痛みをかばって片側に体重をかけるようになると、腰や骨盤の動きにも変化が生じる場合があります。
反対に、腰や股関節の動きに偏りがある場合も、下半身全体の使い方を確認する必要があります。
膝の痛みを考えるときは、膝だけを切り離して考えるのではなく、骨盤・股関節・足首まで含めた動作を見ることが大切です。
膝と腰の連動については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
膝を無理に動かさない方がよいケース
歩き始めの膝の痛みに対して、身体を動かすことは大切ですが、すべての痛みに運動が適しているわけではありません。
例えば、次のような状態には注意が必要です。
- 急に膝が大きく腫れた
- 膝に強い熱感や赤みがある
- 転倒やひねりのあとから強い痛みが出た
- 膝が動かせない、体重をかけられない
- 膝が引っかかり、動かせなくなる
- 発熱を伴っている
このような場合は、無理な運動を続けず、医療機関で状態を確認してください。
特に強い腫れや熱感、歩行困難などがある場合は、早めの評価が必要です。
久が原整体院では膝だけでなく身体全体の動きを確認します
久が原整体院では、歩き始めに膝が痛いというお悩みに対して、痛みのある膝だけを見るのではなく、身体全体の動きにも目を向けています。
具体的には、次のような点を確認しています。
- 立ち上がるときの姿勢や重心の移動
- 歩き始めの左右の体重移動
- 膝の曲げ伸ばしの状態
- 骨盤や股関節の動き
- 足首や足部の動き
- 身体全体のバランス
同じ膝の痛みでも、どの動作で症状が出るのか、身体の使い方にどのような特徴があるのかは人によって異なります。
当院では、姿勢や重力線、身体の動きを確認しながら、一人ひとりの状態に合わせて施術方針を検討します。
強い力を加える施術や、無理に身体をひねる施術は行わず、身体の状態に配慮することを大切にしています。
もちろん、整体で変形性膝関節症などの病気を診断することはできません。
膝の痛みだけに注目するのではなく、骨盤や股関節、足首、身体全体の動きを確認することを当院では大切にしています。
歩き始めの膝の痛みについてよくある質問
Q.歩き始めだけ膝が痛く、歩いていると楽になるのはなぜですか?
しばらく身体を動かしていなかったあとに、関節周辺のこわばりや組織の状態によって痛みが出る場合があります。変形性膝関節症の初期にも見られる症状ですが、それだけで原因を特定することはできません。
Q.朝起きたときに膝が痛いのは年齢のせいですか?
加齢に伴う関節の変化が関係する場合はありますが、年齢だけで原因を決めることはできません。筋肉や関節周辺の状態、過去のけが、日常生活での負担なども関係します。
Q.歩き始めの膝の痛みは運動した方がよいですか?
膝の状態によって異なります。変形性膝関節症では、運動療法が痛みや身体機能の改善に役立つことがガイドラインで示されています。ただし、強い痛みや腫れがある場合は無理に運動を続けないようにしましょう。
Q.膝が痛い場合、膝だけをケアすればよいですか?
膝の状態を確認することはもちろん重要ですが、股関節、骨盤、足首などの動きも歩行に関係しています。身体全体の動作を確認することも大切です。
まとめ|歩き始めの一歩で膝が痛いときは身体全体を確認しましょう
歩き始めの一歩で膝が痛くなる原因には、変形性膝関節症、関節周辺のこわばり、太ももの筋力低下、半月板などの組織の問題、身体全体の動きの変化など、さまざまな要因が考えられます。
特に確認しておきたいのは、次のポイントです。
- 朝起きたときと長時間座ったあとの違い
- 何歩か歩くと痛みが軽くなるか
- 膝の内側・外側・前側・裏側のどこが痛いか
- 膝の腫れや熱感がないか
- 太ももや股関節、足首の動きに問題がないか
- 歩き方や日常生活での身体の使い方
膝の痛みを考えるときは、痛い場所だけで判断せず、いつ痛むのか、どのように身体を動かしているのかを確認することが大切です。
歩き始めの痛みが気になる方は、まず日常生活の動作を振り返り、無理のない範囲で身体を動かす習慣を意識してみましょう。
大田区・久が原周辺で膝の痛みにお悩みの方へ
久が原整体院では、膝の痛みについてお話を伺い、姿勢や重力線、骨盤、股関節、足首なども含めて身体全体の動きを確認しています。
歩き始めの一歩で膝が痛い、朝起きたときに膝がこわばる、長時間座ったあとに立ち上がりにくいなど、日常生活でお困りのことがあればご相談ください。
膝を伸ばすと痛い方はこちらの記事も参考にしてください。
正座をすると膝が痛い方はこちら。
膝と腰の両方が気になる方はこちらもご覧ください。
ご相談・ご予約はこちらから。
参考文献・参考情報
- 日本整形外科学会
変形性膝関節症
歩き始めの痛み、症状の進行、太ももの筋肉のトレーニングなどについて。 - 日本リハビリテーション医学会
変形性膝関節症における運動療法(2026年)
運動療法の考え方、筋力強化、関節可動域運動、有酸素運動などについて。 - National Institute for Health and Care Excellence(NICE)
Osteoarthritis in over 16s: diagnosis and management
変形性関節症に対する運動療法や身体活動、体重管理についての推奨。 - National Institute of Arthritis and Musculoskeletal and Skin Diseases(NIAMS)
Osteoarthritis
変形性関節症の症状、関節のこわばり、原因などについて。 - National Health Service(NHS)
Knee pain
膝の痛みや腫れに対する日常生活上の注意、緊急性のある症状について。
※この記事は一般的な情報提供を目的としています。症状だけで病名の診断を行うことはできません。急な強い痛み、著しい腫れ、熱感、歩行困難などがある場合は、医療機関での評価を受けてください。





