健康のためにスクワットを始めたのに、膝が痛くなってしまった。「筋力をつけるためには我慢して続けた方がいいのだろうか」「膝が痛いならスクワットはやめるべきなのだろうか」
このように迷っていませんか?
スクワットは、太ももやお尻などの筋肉を使う基本的な運動です。椅子から立ち上がる、階段を上るといった日常動作にもつながる動きですが、膝の状態やしゃがむ深さ、身体の使い方によって関節にかかる負荷は変わります。
大切なのは、膝が痛いからといって一律に運動を禁止することでも、筋力をつけるために痛みを我慢することでもありません。
この記事のポイント
- スクワットで膝が痛くなる主な理由
- 膝のお皿周辺と膝の内側で考えられる違い
- 深くしゃがむ動作と膝への負荷
- 椅子を使って負荷を調整する方法
- 運動を中断した方がよい症状
1.スクワットで膝が痛くなるのはなぜ?
スクワットでは、膝を曲げながら身体を下げ、再び立ち上がります。このとき、太ももの筋肉を中心に、股関節や足首なども協力して動きます。
膝関節は、曲げ伸ばしの角度や身体の位置によって、受ける力が変化します。そのため、同じスクワットでも、浅く行う場合と深くしゃがむ場合では、関節にかかる負荷が異なります。
① 膝を深く曲げすぎている
膝を深く曲げるほど、膝関節周辺の組織にかかる圧縮力が増える傾向があります。
特に、膝のお皿と太ももの骨の間にある関節は、膝の曲げる角度によって負荷が変わります。
普段あまり運動をしていない方や、すでに膝に痛みがある方が、いきなり深いスクワットを行うと、負荷が強すぎる場合があります。
ただし、深くしゃがむこと自体が、すべての人にとって危険というわけではありません。重要なのは、現在の膝の状態と運動の目的に合った深さを選ぶことです。
② 太ももの筋力や運動への慣れが不足している
スクワットでは、太ももの前側にある大腿四頭筋をはじめ、臀部などの筋肉も働きます。
筋力や運動への慣れが十分でない状態で、回数や負荷を急に増やすと、膝周辺に負担が集中することがあります。
例えば、最初は10回程度で始めていたのに、健康のために毎日50回、100回と増やしてしまうケースです。
運動は回数を増やすことだけが重要なのではありません。適切な負荷で、身体が対応できる範囲から始めることが大切です。
③ 股関節や足首の動きも関係している
スクワットは膝だけで行う運動ではありません。
股関節を曲げる動き、足首の動き、身体を支える筋肉の働きなどが組み合わさっています。
例えば、足首が十分に曲がりにくい場合、身体のバランスを保つために別の部分の動きが大きくなることがあります。
また、股関節の動きや体幹の位置によっても、膝にかかる負荷は変わります。
そのため、膝が痛いからといって、膝だけを見れば原因が分かるとは限りません。
④ 膝の状態そのものに問題がある場合
スクワットによる膝の痛みには、運動負荷だけでなく、膝関節の状態が関係している場合もあります。
例えば、次のようなものです。
- 膝蓋大腿関節痛(膝のお皿周辺の痛み)
- 変形性膝関節症
- 半月板に関係する症状
- 腱や筋肉の付着部に関係する痛み
痛む場所だけで病名を判断することはできません。痛みの経過や腫れ、動作、必要に応じた検査などを踏まえて考える必要があります。
2.膝のお皿周辺が痛い場合と、内側が痛い場合
膝が痛いといっても、痛む場所によって考えられる要因は異なります。
膝のお皿の周辺が痛い
しゃがむ、階段を下りる、椅子から立ち上がるときなどに、膝のお皿の周辺が痛む場合があります。
膝蓋大腿関節に関係する痛みでは、膝を曲げた状態での負荷が症状に関係することがあります。
この場合、深くしゃがむ動作や、急に運動量を増やすことが負担になるケースがあります。
膝の内側が痛い
膝の内側の痛みには、変形性膝関節症や半月板、周辺の筋肉・腱など、複数の要因が考えられます。
特に、歩行時にも痛みがある、膝が腫れる、曲げ伸ばしがしにくいなどの症状がある場合には、スクワットのフォームだけで解決しようとしないことが大切です。
膝の前側・内側・外側で判断しきれないこともある
痛みの場所は状態を考える手がかりになりますが、それだけで原因を確定することはできません。
同じ場所が痛くても、関係している組織や適切な運動方法が異なることがあります。
3.膝が痛いとき、スクワットは続けていい?
ここが最も気になる部分ではないでしょうか。
答えは、痛みの程度や原因によって異なるです。
負荷を見直す目安
- 軽い違和感程度で、運動後に悪化しない場合:深さや回数を減らして様子を見る選択肢があります。
- 運動中に痛みが強くなる場合:その動作を中断し、負荷を見直します。
- 運動後から翌日にかけて痛みや腫れが増す場合:運動量が適切でない可能性があります。
- 膝が引っかかる、動かせない、体重をかけられない場合:運動を続けず、医療機関で確認してください。
「痛みがあるけれど、筋肉を鍛えるために我慢しなければいけない」と考える必要はありません。
一方で、膝に痛みがあるからといって、すべての運動を永久に避けなければならないわけでもありません。
変形性膝関節症の診療ガイドラインでは、運動療法は痛みや身体機能、日常生活機能の改善に有用とされています。
ただし、これは個々の症状に合った運動を選ぶことが前提です。スクワットだけが唯一の運動方法ではありません。
4.膝への負担を調整するスクワットの方法

膝に不安がある場合、最初から深くしゃがむ必要はありません。
まずは、椅子を使って動作の深さを調整する方法があります。
椅子を使ったスクワット
椅子を後ろに置き、座る動作を利用してスクワットを行います。
- 安定した椅子を後ろに置きます。
- 足を無理のない幅に開きます。
- 椅子に座るように、お尻をゆっくり後ろへ引きます。
- 痛みが出ない範囲で膝を曲げます。
- 椅子に軽く触れる程度まで下がるか、可能な範囲で止めます。
- 足裏で床を支えながら、ゆっくり立ち上がります。
最初は椅子に完全に座ってから立ち上がる方法でも構いません。
手すりや机など、安定した支えを利用する方法もあります。
注意点椅子を使えば必ず膝に負担がかからない、というわけではありません。膝の痛みが増す場合は中止してください。膝の状態によっては、スクワット以外の運動を選ぶ方が適切なこともあります。
回数よりも、動作の質を意識する
スクワットを始める際、最初から多くの回数を行う必要はありません。
例えば、数回から始めて、痛みや身体の反応を確認する方法があります。
ただし、何回が適切かは年齢、筋力、膝の状態、運動歴などによって異なります。
「毎日必ず30回」といった一律の目標を決めるよりも、無理なく続けられる範囲を考えることが大切です。
5.膝が痛いとき、スクワット以外の運動はある?
スクワットが難しい場合でも、膝周辺の筋力や身体機能を考えるための運動はほかにもあります。
太ももに力を入れる運動
椅子や床に座り、膝を伸ばした状態で太ももの前側に力を入れる運動があります。
膝を大きく曲げ伸ばしせずに筋肉を働かせる方法の一つです。
脚を伸ばして持ち上げる運動
仰向けで片脚を伸ばし、太ももに力を入れながら脚をゆっくり持ち上げる方法があります。
ただし、腰や股関節に痛みがある場合などは、身体の状態に合わせた調整が必要です。
歩行や水中運動
膝の状態によっては、平地歩行や水中での運動が選択肢になる場合があります。
水中では浮力によって身体にかかる荷重が軽減されるため、陸上運動とは異なる負荷で身体を動かすことができます。
ただし、これらの運動も、症状や体力に合わせて選ぶことが大切です。
6.スクワットのフォームだけで膝の痛みは解決する?
スクワットのフォームを見直すことは、膝への負荷を調整するうえで役立ちます。
しかし、フォームだけですべての膝の痛みが解決するわけではありません。
膝の痛みには、関節の状態、筋力、運動量、身体の動き、既往歴など、複数の要因が関係することがあります。
例えば、膝を曲げる動作だけでなく、股関節の動きや足首の動き、立ち上がる際の身体の位置なども、スクワットの負荷に影響します。
そのため、痛みが続く場合には、単純に「膝が前に出ているから悪い」「骨盤がゆがんでいるから痛い」と決めつけることは適切ではありません。
動作の特徴と、実際に症状が出る状況を合わせて考えることが重要です。
7.大田区・久が原整体院が大切にしている身体の確認

久が原整体院では、膝の痛みを考える際にも、痛む部分だけを見るのではなく、身体全体の状態や実際の動作を確認することを大切にしています。
スクワットや立ち上がり動作では、膝だけでなく、骨盤、背骨、股関節、足首なども関係しています。
当院では、身体の状態を確認する際に、次のような点を大切にしています。
- 立ったときの姿勢や身体の傾き
- 骨盤と背骨の位置関係
- 股関節を曲げたり脚を動かしたりする際の状態
- 膝の曲げ伸ばしや立ち上がり動作
- 日常生活で困っている動作
こうした確認を通じて、どのような動作で負担がかかっている可能性があるのかを考えていきます。
もちろん、姿勢や骨盤の特徴だけで膝の痛みの原因を確定できるわけではありません。
身体の状態を理解し、必要に応じて運動や日常生活での工夫を考えることが大切です。
当院の身体の軸・骨盤・姿勢に関する考え方については、以下のページでも紹介しています。
8.こんな膝の症状は運動を中断して確認しましょう
スクワットを続けるかどうかを考える際には、痛みの強さだけでなく、膝の状態にも注意が必要です。
- 膝が急に大きく腫れた
- 膝が赤く、熱を持っている
- 転倒や強い衝撃の後から痛みが出た
- 膝が動かせない、引っかかって伸びない
- 体重をかけられないほど痛い
- 発熱を伴う膝の痛み
このような場合は、スクワットのフォームを調整するよりも、医療機関で状態を確認することを優先してください。
急激な腫れや強い痛みなどがある場合は、早めの評価が必要です。
9.スクワットで膝が痛い方からよくある質問
Q.膝が痛くても毎日スクワットをした方がいいですか?
毎日行うことが必ずしも適切とは限りません。膝の状態や運動量によっては、休息や負荷の調整が必要です。痛みが増す場合は中断し、適切な運動方法を確認しましょう。
Q.膝がつま先より前に出ると、必ず膝を痛めますか?
必ず痛めるわけではありません。膝がつま先より前に出る動作は、膝関節にかかる力に影響しますが、それだけで安全性を判断することはできません。身体の状態や動作全体を考えることが大切です。
Q.変形性膝関節症でもスクワットはできますか?
変形性膝関節症では運動療法が有用とされています。ただし、スクワットの深さや負荷は症状に合わせて調整する必要があります。痛みが強い場合や腫れがある場合は、運動方法について医療関係者に相談してください。
Q.浅いスクワットなら膝に負担はかかりませんか?
浅いスクワットは深くしゃがむ場合よりも負荷を調整しやすいことがありますが、負担がゼロになるわけではありません。痛みが出ない範囲で行うことが大切です。
Q.膝が痛いときは、太ももの筋肉を鍛えない方がいいですか?
一律に鍛えない方がよいというわけではありません。膝の状態に応じた運動療法が有用な場合があります。ただし、痛みを我慢して強い運動を行うことは避け、適切な負荷を選ぶことが重要です。
10.まとめ|膝が痛いときは、無理にスクワットを続けない
スクワットは、太ももやお尻などの筋肉を使う基本的な運動です。
しかし、膝の状態やしゃがむ深さ、身体の使い方によって、関節にかかる負荷は変わります。
膝が痛いときに大切なのは、回数を増やすことでも、痛みを我慢することでもありません。
現在の膝の状態を確認し、身体が対応できる範囲で運動を調整すること。
スクワットが難しい場合には、椅子を使った動作や、別の運動方法を検討することもできます。
大田区・久が原整体院では、膝の痛みだけでなく、姿勢、骨盤、股関節、身体全体の動きなどを確認しながら、一人ひとりの状態を考えることを大切にしています。
「椅子から立ち上がるときにつらい」
「運動を続けてよいのか分からない」そのようなお悩みがある方は、まず現在の症状や困っている動作を整理することが大切です。久が原整体院では、身体の状態や動作を確認しながら、日常生活での注意点や身体の使い方についてご説明しています。
相談時には「スクワットで膝が痛くなる」「階段で痛みが出る」など、具体的な症状をお伝えいただくと状況を把握しやすくなります。
膝の痛みについて、無理のない方法を一緒に考えていきましょう。
参考文献・医学的資料
- 日本整形外科学会・日本整形外科学会関連資料:
変形性膝関節症診療ガイドライン - 厚生労働省 e-ヘルスネット:
安全かつ効果的に「足腰」を鍛える方法 - Straub RK, Powers CM. A Biomechanical Review of the Squat Exercise: Implications for Clinical Practice. International Journal of Sports Physical Therapy. 2024;19(4):490-501.
論文全文 - Rojas-Jaramillo A, et al. Impact of the deep squat on articular knee joint structures, friend or enemy? A scoping review. 2024.
PubMed - 日本整形外科学会:
変形性膝関節症|症状・病気をしらべる
本記事は一般的な健康情報を提供するものであり、個々の症状の診断や治療を代替するものではありません。





